日本ALS協会長崎県支部ニュース
第4号(2007年11月号)
【筋委縮性側索硬化症、進行の仕組みを慶大教授ら解明!】
2007年10月6日の読売新聞の記事にこんな記事がありました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
運動神経が破壊され、筋力が低下する難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄 (せきずい)でアミノ酸の一種「D―セリン」が過剰に作り出されて進行することを、慶応大医学部の相磯貞和教授(形態形成学)らのグループが突き止めた。
新たな治療薬の開発につながる成果で、英科学誌に発表した。
ALSに伴う神経の破壊は、情報伝達物質であるグルタミン酸が過剰に神経を興奮させるために起きるとされている。このグルタミン酸の過剰興奮の一端を、神経細胞に栄養を
与える「グリア細胞」が作るD―セリンが担うことも知られていたが、その仕組みは不明だった。
相磯教授らは、ALSを発症させたマウスや、ALSで亡くなった患者の脊髄を分析。病気が進行するにつれてグリア細胞が増え、D―セリンの濃度が脊髄の中で高まった結果、グルタミン酸が神経を破壊する働きも強まっていることがわかった。一方、このアミノ酸の働きを抑えると、グルタミン酸による神経の破壊も抑えられた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこで、当会の顧問の先生に問い合わせをしたところ、別添の報告書を頂きました。
この研究の成果により、「ALSの完治のための治療」は期待できないものの、少なくとも「ALSの進行を大幅に遅らせるための治療」の為の大きな手がかりにはなったのではないでしょうか?
進行が止まりさえすれば、あとは”完治のための治療”をじっと待つだけでいいのですから、それまでの間、体調管理をきちんとしておけばいいだけ。
これから、ますます寒くなってきます。
風邪には十分気を付けて、この冬を乗り越えていきましょうね。
【国の「混合診療禁止」という政策に「違法」という判決!】
2007年11月8日の西日本新聞の記事にこんな記事がありました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
健康保険法に基づき保険が適用される診療に、適用されない自由診療を加えて受けると、保険適用診療まで含め医療費が全額自己負担となるのは違法として、がん患者の男性が訴えた訴訟で、東京地裁は7日、男性勝訴の判決を言い渡した。
国は保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止しているが、定塚誠裁判長は、この政策を「法的根拠はない」として違法とする初の判断を示し、男性に保険適用診療分の受給権があると認めた。
混合診療をめぐっては、がん患者らが「保険対象外の抗がん剤などを使えば自己負担が膨大になる」と解禁を求める声も多い一方、「高所得層だけが良い医療を受けられるようになり国民皆保険制度の崩壊につながる」との懸念も強く、判決はこうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。
・・・、国側は「保険診療に自由診療が加わった場合は、不可分一体の1つの新たな医療行為とみるべきだ」と主張したが、判決は「一体と解釈すべきという法的根拠を見いだせない。法は診療行為ごとに、適用診療かどうかを判断する仕組みを採用している」と退けた。
混合診療の原則禁止について「医療の平等を保障する必要性や、解禁すれば患者の負担が増大する恐れがあり合理的」との国の指摘に対しては、「今回の訴訟の問題は、いかなる法的根拠によって、自由診療と併用すると保険適用診療の受給もできなくなると解釈できるのかという点。混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なる」と判断した。
判決などによると、原告は2001年9月から、神奈川県立がんセンターで腎臓がん治療のため、保険適用のインターフェロン治療に加え、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用していた。
▼医療過誤問題に取り組む弁護士らでつくる「医療事故情報センター」の柴田義朗理事
長の話 訴訟で国は「混合診療だから保険診療の対象にならない」と主張しているようだが、法的な根拠は見当たらない。当然の判決だと思う。
▼厚生労働省の水田邦雄保険局長の話 国のこれまでの主張が認められておらず、極めて厳しい判決だと考えている。今後の対応は、判決内容を検討し、関係機関と協議の上、速やかに決定したい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この判決、ALSという病気に例えると、「リルテックの処方やリハビリといった”保険診療”を受けながら、臨床試験で進行の遅滞の効果が認められつつある”エダラボン(ラジカット)”を投与する”自由診療”を受けることができるようになる」ということになり、大いに興
味があるところ。
しかし、できれば、個人の負担が少ない保険適用の範囲を拡大してくれることが一番。
やっぱり、混合診療ではなく「効果がありそうな治療は何でも保険診療として受けられる」、こちらの方がうれしいですよね。
【リハビリはALSに効果的!?】
県内のALS患者の方からこんな体験談が寄せられてきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕が、医師からの「君の病気に対するリハビリの効果は”気休め”みたいなもの」という言葉を胸に、リハビリ通いを始めてから6ヶ月。
僕はこんな疑問を抱いていた。
「本当に、この病気にとって、リハビリとは単なる”気休め”なのだろうか?」
そこで、その疑問を解消すべく、病院にお願いして、「20分間のリハビリの前後における身体機能の数値の測定」を行ってみることにした。
まずは、肺活量の測定から。
これは「胸郭介助」というリハビリを行い、その前後における肺活量の数値を測定。
すると、リハビリの前後で、肺活量は1960mlから2120mlに「160ml増」となった。
ちなみに、6ヶ月前の数値は1850ml。
以前と検査方法が少し異なったため、”確実に”という言葉をつけることはできないが、まずは「病状が回復している」という”気休め”の結果にびっくりした。
また、”努力性肺活量”という「一気にどれだけの量をはき出せるか」の数値を測定してみると、リハビリの前後で、1620mlから2090mlへと「470mlの増加」となり、いっしょに測定
した”ピークフロー”の数値も4000ml/sから4100ml/sの「100ml/s増」となった。
これらの結果は、全て、「徐々に空気をはき出す力が弱っていく病気」を患った僕にとっては、大いなる”気休め”となった。
続いて、身体能力を診るために、”10m歩行”のタイムの測定を行った。
これは、2回に分けて測定。
まずは1回目。
この日の測定は、「リハビリを受けた2日後」に行った。
そして、そのタイムは、リハビリの前後で、1分9秒から1分4秒へと「5秒短縮」した。
続いて、2回目の測定。これは、「1週間、リハビリを全く受けない状態の後」に行った。
すると、リハビリの効果は、1分39秒から1分15秒と「24秒短縮」であった。
これによって、「リハビリをした後は何だか足が軽くなったような気がする」と感じていたことが、「単なる”感じ”だけではなかった」ということが証明された。
しかし、決して症状が改善されわけでは無く、その証拠に、「1週間後に測定した”リハビリ後の歩行タイム”」は、「1週間前に測定した”リハビリ前の歩行タイム”」よりも悪くなっていた。
つまり、この1週間の間で明らかに筋力は低下しているわけで、その低下の度合いは”リハビリの効果”を上回っており、冷静に考えてみると、医師の言うとおり、”リハビリの効果”など、あまり意味のない”気休め”みたいなものかもしれない。
しかし、僕は、その気休めの結果に、思わず、「よしっ!」と声を出して喜んでしまった。
肺活量が増えると、異物が呼吸器官に詰まったとしても「エヘン!オホン!」という咳払いの威力が増して九死に一生を得るチャンスだって増えるかも知れないし、賞味期限の切れた(?)シュークリームを食べてお腹を下したとき、10m離れたトイレに24秒も早く行けるなんてとてもすばらしいことだ。
その場の”気休め”としては、”十分な効果”をもたらしてくれたことは確かだった。
ん?気休め?
別に、”気休め”だったとしてもいいじゃないか!
リハビリだろうが何だろうが、その”気休め”が「奇跡を呼び起こす」ことだってあるかも知れないし、その可能性だって、「僕がこの病気を患う可能性と比べてどちらが高いか?」
なんて、わかったものではない。
病気になる可能性も、病気が治る可能性も同じようなもの。
というわけで、僕は、この”大いなる気休めの結果”に対し、「前を向いて生きるための勇気をくれた」と、受け取ることにした。
【9月のニュース】
☆9月8日に定例の役員会を開催し、以下のことを話し合いました。
1.集い開催について
1)会員への案内状発送作業
2)当日の準備他
2.役員からの報告
1)立川副支部長さん宅に県立長崎シーボルト大学の学生と教授が訪問 学生の卒論テーマ「ALS患者の在宅移行期の課題」について、家族としての立場から立川副支部長さんにお話していただきました。退院時における病院スタッフや在宅スタッフとの話し合い、時間割作成、病院に泊まっての介護トレーニング(呼吸器の吸引トレー
ニングなど)、また、精神的な問題やその対処法などについて、資料を作成して懇切丁寧に説明してくださいました。将来、学生が看護師としてこの貴重な体験を活かしてくれることを願います。
2)家庭訪問予定の方についての報告
3)支部ニュースについて
会員の方からのメッセージなどお便りコーナーを設ける。
4)会員の方からのお知らせ
食事支持ロボットMy Spoon(セコム約40万円)を日本障害者連合会の補助を受け4万円で購入。その後、使用しなくなったので、当支部を通じて身体的に必要な方に活用してもらいたいとのこと。興味のある方は事務局までご連絡お待ちしています。
※この他にも会員間で不要になった補助具や車椅子などについて「譲りたい」「譲ってほしい」などがございましたら、事務局までご連絡してください。
5)県立長崎シーボルト大学祭フリーマーケット参加
日時:10月27日、28日
バザー用品の依頼先:会員、保健所、病院、大学など
6)日本難病看護学会参加報告
会場:青森県立保健大学
会期:平成19年8月24日(金)・25日(土)
◆外出支援について
東京筋萎縮症協会会員の療養者に対するアンケート調査の報告です。
外出に関する問題として約半数の患者さんが体調変化やトラブルを経験していました。
主な体調変化...排泄に関すること、呼吸・嚥下に関すること、外出先の環境...公共交通の利用時のトラブル、外出先の施設・設備の問題、機器のこと...車椅子のパンクや破損、人工呼吸器などの医療機器のトラブル。以上の問題を踏まえて、外出時に必要な対応としては、
1事前準備をしっかりすること。
2情報収集をしておく。
3外出時無理をしない。
4体調 が悪い時はやめる。
などの意見が上がっていました。
外出支援もレジャーのためでは診療報酬がでないという自立支援制度上のネックがあり、限られた支援体制の中で経済的な支援、情報提供、介助者派遣(技術の普及)などを考えていかなければなりません。ちなみにアメリカでは、「トラベルナース」という専門看護師が外出支援を担っているそうです。
◆家族以外の吸引について
全国で230万床の療養病床の削減や在宅医療支援診療所の新設など医療は、施設内ケアから在宅ケアに移行しています。その中で、在宅での人工呼吸器装着をした患者さんの吸引についての問題が討議されました。
「平成18年度厚生労働科学研究費補助金医療安全・医療技術評価総合研究事業」で、家族以外の者による吸引実施についてのアンケート調査が行なわれました。
家族以外の吸引実施率36.5%で、その内、ALS患者さんの実施率は15.7%でした。「家族以外の者による吸引」ついて、よかった34.4% わからない1.3%という結果でした。実際、通所サービスでは人工呼吸器装着した患者さんは受け入れないところが多いそうです。
「家族以外の者によるたんの吸引」に関わる6条件(別記参照)実施状況は低率でした。
特に低率だった項目を定期的に確認することが必要だと述べられていました。
家族以外の者による吸引が安全に行われるために療養環境の改善、医療体制、医師・看護職員と「家族以外の者」との連携強化、物品等の準備等の再検討の必要性が示唆されました。また、医療機器メーカーと病院、患者さんとの間で機器に関する情報の共有も必要であると述べられていました。
※「家族以外の者によるたんの吸引」に関わる6条件
1)療養環境の管理 2)在宅患者の適切な医学的管理 3)家族以外の者に対する教育
4)患者との関係 5)医師及び看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施
6)緊急時の連絡・支援体制の確保
◆ALS患者さんのQOL向上に関する支援
SEIQOL-DWというQOL測定法による報告がありました。これは、アイルランド王立外科医学院心理学のオボイル教授が発案したものです。この測定法では、患者さんの物語りから患者さん自身が大切に思っているものを5つ挙げてもらい、次にその5つの項目について、現在の満足度を聴いていきます。このことから患者さんが今、一番望んでいることを把握し、満足度の低い項目について支援できることはないか考えていきます。
◆その他の情報
・ 3年後ぐらいには、ALSの治療薬が開発されるとのことです。(東北大学 糸山医師の話から)
・ 生活と医療を統合する支援がこれからは必要です。
・ リハビリテーションの重要性を理解し、早い時期に導入することで歩行耐久性、速度が維持できます。初期段階での導入ほど効果が高いとのことでした。
☆優しいお顔でたくましくALSと闘っている方のお見舞いに行ってきました!
9月20日の日曜日、ALS協会の会員で、西海市でALSと闘っているTさんを訪ねました。
訪問者は、泉支部長と奥様、立川副支部長と井上事務局長の4人で、近くの保育園に集合して、そろって訪問しました。
Tさん宅への道は、右折左折のある急勾配で細い道。
でも、井上さんの巧みなハンドルさばきで無事に目的地に到着しました。
そして、泉さんは、愛用の電動車いすに乗り換え、Tさん宅の勝手口にボードでスロープを作ってもらい、ベッドに横たわるTさんの病室に入り、対面となりました。
Tさんは呼吸器を付けていて言葉を発することができませんでしたが、とても上手な「口パク」で楽しい会話ができました。
一方、腕と指は動かすことはできて、ベッドの傾斜の調整や、割り箸を使って50音表の文字盤の文字を指して意思表示もされていました。
Tさんは告知から3年で呼吸器を付けることになったとのこと。
しかし、「発病はその前からしていたのだろう」と息子さんは言っていました。
Tさんは、私たちが訪問の際に落ち合った保育園の園長を長年務めておられたとのことでした。趣味は”押し花”で、自作の押し花の作品が飾ってありました。
私たちは、ALS協会長崎県支部の活動状況についても話しました。長崎県のALS患者の数や様子、講演会、集い、それと患者さんの作品製作の模様を、NHKホールでで行った「いきいき作品展」の写真を見せながら伝えました。その中で、熊脇さんのビーズの作品、最所さんの貼り絵制作中の様子を見せて、趣味を持つことで生き甲斐や生活への意欲も湧いてくるので、Tさんも趣味の押し花を続けるよう勧めました。
ALS長崎県支部の活動紹介の中で、学校への講演活動について話をしたときに、息子さんより、「自分は小学校の教諭であり、機会があれば講演をお願いしたい」という申し出がありました。
Tさんも電動車いすを既に注文しておられるそうで、近く届けられるとのこと。電動車いすに試乗したときの様子では、「Tさんの運転はとても上手だった」とのことから、泉さんが「今度車いすで競走をしましょうよ。」と提案すると、ベッドの上でTさんはこらえきれないと
いう様子で笑い出し、周りの皆さんも二人が電動車いすでレースを繰り広げているシーンを想像して、大笑いしました。
訪問した4人がそれぞれの立場でTさんとの会話や質問を行い、Tさんと息子さんもにこやかに応対していただき、お見舞いの和やかなひとときを過ごすことができました。
病床のTさんの微笑みや、会話の中での大笑い、それに息子さんの誠実な看護の様子を思い出しつつ、「訪問して良かったね~。」と訪問者一同が感想をもらしながら帰途につきました。
【10月のニュース】
☆10月13日、以下のとおり、交流会(”集い”)を実施いたしました。(詳細は別添のとおり)
日 時: 平成19年10月13日(日) 午後2時~午後4時
場 所: ながさき看護センター
(諫早市永昌町23-6 TEL0957-49-8050)
対象者: ALS患者さんとご家族・ご遺族
☆10月20日に定例の役員会を開催し、役員からの報告並びに次回の”集い”について
話し合いました。
☆10月23日(火)、泉支部長が看護師の研修会で講演させていただきました。
「もしかしたら、これが最後の講演になるかも知れない。」そんな気持ちで、一生懸命話さ れたそうです。
☆10月28日に県立長崎シーボルト大学祭フリーマーケットに参加しました。
いろんな方のたくさんの善意、本当にありがとうございました。
【11月以降のニュース】
☆以下のとおり、交流会(”集い”)を実施いたします。
日 時: 平成19年12月15日(土) 午後2時~午後4時
場 所: 長崎神経医療センター
(東彼杵郡川棚町下組郷2005番地1 TEL 0956-82-3121)
対象者: ALS患者さんとご家族・ご遺族(参加申し込みは当日でも可)
今回も、前回同様、参加の対象者を「ALS患者さんとそのご家族またはご遺族の方」に限らせていただきました。
ですので、療養生活や病人の介護に当たり、日頃考えている疑問、質問、相談事や体験談や自分で考え出した問題の解決策、それに、日頃はなかなか口に出しては言えないお医者さんやヘルパーさんへの愚痴?など、ゆっくり、ざっくばらんに話し合ってみませんか。
なお、お申し込みは当日会場でも承ります。
お時間の都合が付く方は、ぜひ、ご参加下さい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆当会では、読者のみなさまからのご意見やご要望をお待ちしています。
「我が家ではこんな工夫をしている」とか「○○について知りたい」などがございましたら、事務局までお送りいただきますようよろしくお願いいたします。
※なお、この会は、ボランティアの善意と会員の方の会費によって運営されております。
※この会を支援してくださる方を募集しています。つきましては、会の活動に興味がござ
いましたら、お気軽に事務局までお問い合わせいただきますようよろしくお願いいたしま
す。
HOME
前のページへ